どんな症状ですか?
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気になっている症状をクリックしてください。症状ごとに考えられる代表的な要因をあげました。以下の内容を参考に、早めの受診をおすすめ致します。
食欲がない
犬・猫にとって食欲は健康のバロメーターです。
その子の性格によっては、精神的ストレス(例えば、食事の変更、引っ越し、発情、雷や花火の音、家族に赤ちゃんが増えた、など)で食欲が低下することもありますが、病気のサインとして食欲が落ちる原因には以下のようなことが考えられます。
本当に食欲がなくて食べられない場合には、胸やおなかの中の内臓器のトラブル、痛み、感染症などを起こしている可能性があります。
食欲がありそうだけど食べられない場合には、のど、口の中、鼻や脳の一部など首から上の部位に問題がある可能性があります。
食べる量・回数が増えた(多食)
多食は大きく2つに分けられ、生理的なもの(病的ではないもの)と病的なものに分けられます。生理的な場合には、成長期、妊娠、薬の副作用などがあげられます。病的な場合としては、内分泌疾患(ホルモンに関連した病気)に関わることも多く、例えば、多食でおなかがぽっこりしてきた場合には副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、多食なのにやせてきた場合には糖尿病、甲状腺機能亢進症(人間でいうバセドウ病と同義)などの可能性もあります。
水をたくさん飲む、おしっこの量が増えた(多飲多尿)
だいたいの目安として、1日のうちに体重1kgあたり100mlの水を飲むのが習慣的に続く場合、多飲といわれます。例えば、5kgの子なら1日に500ml(ペットボトル1本)、10kgの子なら1日に1lという感じです。
多飲多尿を起こす代表的な病気としては、糖尿病、腎不全、副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)、子宮蓄膿症、甲状腺機能亢進症などが主によくみられます。
特に、中・高齢の避妊手術をしていないメス犬では、発情後1~2カ月した頃に子宮蓄膿症を発症するケースも珍しくありません。しっぽをあげて陰部をのぞいてみて、膿のようなものが出ている場合は子宮蓄膿症の可能性が高いので、すぐに動物病院を受診しましょう。
吐く
吐くという症状は「吐出」と「嘔吐」の大きく2つに分けられます。
①「吐出」とは、食べたものが胃まで入る前に食道から逆流して、前ぶれなく口から勢いよく吐き出されることをいいます。たいてい食べた直後に起こすことが多く、食べ物は消化されずにそのまま形が残っています。食道の病気に関わる場合が多いです。まれに甲状腺機能低下症、胸の中の腫瘍、脳の疾患などから食道の拡張を起こしていることもあります。
②「嘔吐」とは、胃の内容物を吐き出すことをいいます。吐出と異なり、吐く前に「オェッオェッ」という前ぶれがあることが多いです。胃酸過多、胃腸炎、胃腸の閉塞・圧迫、異物の誤飲、感染症、腫瘍、膵臓炎、腎不全、毛球症(毛玉)など様々な原因が考えられます。
異物を食べた
異物摂取は、犬によくみられますが、たまに猫でもみられます。
がびょうや石ころ、鳥の骨、その他金属性のものはレントゲンで写りますが、それ以外のものは基本的にはレントゲンにうつらないか、うつりづらいです。食べてすぐであれば、催吐処置によって吐かせることが可能ですが、ものによっては食道やのどを傷つけてしまうため、吐かせない方がいいものもあります。
何か異物を食べてしまった場合は、とりあえずお電話でもかまいませんので、すぐにご相談ください。
ショック状態
ショック状態とは、専門用語で「虚脱(きょだつ)」ともいい、意識が低下し、体を動かすこともできないほどぐったりしている状態をいいます。具体的な症状としては、横たわって立てない、体が冷たい、歯ぐきが白っぽい、呼吸がおかしい、失禁(尿・便)などを起こします。
例えば、交通事故、中毒、熱射病、重度感染症、糖尿病性ケトアシドーシス、子宮蓄膿症、副腎皮質機能低下症、そのほか様々な内臓器の障害が原因でショック状態に陥ることがあります。
生命の危機が迫っているほどの非常に危ない状態なので、様子を見ずに一刻も早く診察を受けることをおすすめします。
おなかがふくれてきた(腹部膨満)
おなかがふくれる原因としては、大きく以下の4つに分けられます。
- おなかの中の臓器そのものが大きくなっている場合(例えば、肝臓・脾臓・副腎・腎臓・膀胱・腸などの腫瘍、胃拡張胃捻転症候群、子宮蓄膿症、尿道閉塞による膀胱内の過剰な尿貯留、猫の巨大結腸症など)
- 腹水がたまっている場合(例えば、心不全、低タンパク血症、フィラリア症、腫瘍からの出血など)
- 腹部の筋肉のゆるみや皮膚が薄くなることによって、おなかの中の臓器が垂れ下がり、おなかがぽっこりしてみえる(副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)など)
- 妊娠、肥満、食べ過ぎなど
手足がむくんでいる(浮腫)
大きく分けて、全身のむくみと局所のむくみに分けられます。むくみが生じている部位を指で圧すると、指圧痕(へこんだあと)がつき、ぶよぶよしています。
全身にむくみが生じている場合、心不全・腎不全・肝不全・消化器疾患(低タンパク血症)・フィラリア症などが考えられます。
1本の足などの局所にむくみが生じている場合は、腫瘍、リンパ節腫脹、腹部膨満などによって静脈やリンパ液の流れが局所的に障害されていたり、熱傷(やけど)、化膿、皮下気腫などによって腫れているなどの様々な原因が考えられます。
いずれの疾患も急を要する疾患ばかりですので、むくみを発見したら様子を見ずにすぐに動物病院を受診しましょう。
呼吸が苦しそう
一般に犬はパンティングといって、舌を出してハァハァしているのをよく見かけます。犬は人間のように汗腺が全身にあるわけではないので、ハァハァすることによって体温調節をしています。健康な状態であれば、パンティングをしていても舌(ベロ)の色は濃いピンク色をしています。
しかし、舌(ベロ)の色が紫色、あるいは真っ白の場合、チアノーゼという酸欠状態を起こしていたり、貧血、あるいは全身的な循環不全を起こしている非常に危険な状態かもしれません。特に食欲・元気の低下、熱っぽい、そのほか何か異常な症状を伴う場合は要注意です。
主な原因としては、鼻・のど・気管・肺や心臓の疾患、熱中症、貧血、フィラリア症などを起こしている可能性があります。特に、短頭種では短頭種気道症候群(たんとうしゅきどうしょうこうぐん)といってのど周辺の構造・機能異常を起こしていたり、「ガーガー」というあひるの鳴き声のような大きな音を立てている場合は気管虚脱(きかんきょだつ)という気管が細くなってしまう疾患の可能性があります。
また、犬では「逆くしゃみ」といって、突然、ブーブーと大きな音を鳴らしながら息を鼻から吸い込むような症状を数分続け、治まると何事もなかったようにケロッとしている生理的な(病的ではない)症状を示すこともあります。(これに関しては治療も予防も特に必要ありません。)
猫は犬と違って、口を開けてハァハァしている場合、多くの場合が異常なサインです。
肺や心臓の疾患、熱中症、貧血などを起こしている可能性があります。胸水といって胸の中に液体がたまってしまうこともあり、膿胸(のうきょう)(胸の中に膿(うみ)がたまってしまうこと)も猫では珍しくありません。交通事故などの強い衝撃によって横隔膜が破けておなかの臓器が胸の中に飛び出してしまう横隔膜ヘルニアを起こしていることもあります。
また、これらの疾患の原因として、猫白血病ウイルス、猫エイズウイルス、猫コロナウイルスなどのウイルス感染が関与していることもありますので、特に外を行き来している猫ちゃんでは注意が必要です。
発育がおかしい
ほかの兄弟に比べて異常に小さい、同じ犬種なのによその犬に比べてうちの子はやけに小さい、肋骨が浮き出ていてやせている、という場合、発育異常の可能性があります。
授乳時にうまくお乳を飲めていなかったり、成長期なのに食事が1日1~2回と少なかったり、ストレスなどによって発育不良を起こすこともありますが、これらのどれにも該当しない場合、病気のサインとして発育不良を起こしていることもあります。
代表的な疾患としては、先天性(生まれつきの)心疾患、門脈体循環シャント、消化管内寄生虫などがあげられます。
やせてきた
5kgの子が500g減った、あるいは10kgの子が1kg減ったというのは、人間に置き換えると50kgの人が5kg減ったのと同じことです。犬・猫も、人間のように夏バテ、ストレス、高齢などの原因によって一時的に食欲が低下してやせることもありますが、急激にやせてきた場合は病気のサインかもしれません。
原因は多岐に渡りますが、代表的な原因の例としては、
- 食べたいけど食べられない場合…口内炎や歯周炎
- 食べているのに痩せてくる場合…消化管内寄生虫、甲状腺機能亢進症、腫瘍
- 多飲多尿がある…糖尿病、腎不全
- 嘔吐、下痢が頻繁にみられる…胃腸などの消化器疾患、肝臓・腎臓・膵臓などの疾患
- 咳や呼吸困難がある…心疾患、フィラリア症
などが考えられます
太った
カロリーの過剰摂取により太った場合と、心不全やフィラリア症などによるむくみ、胸水・腹水の貯留などの病的な要因により体重が重くなって、太ったと感じる場合があります。
いわゆる食べ過ぎによる肥満はそれ自体が病的ではありませんが、糖尿病、気管・肺の疾患、肝臓や胆道の疾患、背骨・股(こ)関節(かんせつ)・ひざ関節などへの負担を起こしやすくなります。
皮膚が赤い、かゆがる
犬・猫の痒みや皮膚炎の原因としては、細菌、真菌、外部寄生虫(ノミ・ダニ・疥癬・ニキビダニ)などの感染症や、アレルギー、内分泌疾患、自己免疫疾患などの皮膚炎が一般的です。また、それらの原因が複合して症状が悪化していることもあるため、診断・治療が難しいケースもあります。
まずは、皮膚のスタンプ検査(ペタペタふけを採る検査)やスクラッチ検査(カリカリふけを削り取る検査)などを行って前者の感染症がないか確認することをおすすめします。
また、赤みの出かたにも注意して観察してみましょう。体の体軸(中心)に沿って、あるいは左右対称性に皮膚炎が見られるケースでは後者のアレルギー、内分泌疾患、自己免疫疾患などが隠れているケースもあります。
粘膜が白っぽい
目で見て確認できる粘膜は、目の結膜(まぶたの裏)、くちびるの裏、歯ぐき、舌(ベロ)、オス犬では陰茎の色(包皮を下にめくって出てきたペニスの色)、メス犬では膣の粘膜などがあります。
これらの粘膜が白っぽいとき、血液が末梢(からだのすみずみ)まで十分に循環できていないことを意味しています。これらの原因としては、貧血(血液の病気、交通事故、大量出血、フィラリア症、中毒、腫瘍、腎不全などに起因)、心不全、ショック状態、肺の疾患(肺炎、肺腫瘍、膿胸(のうきょう)(胸に膿(うみ)がたまること)など)などがあげられます。
いずれも急を要する疾患ばかりですので、粘膜が白っぽいと感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
鼻水・くしゃみが出る、鼻血が出る
猫(特に子猫)では、猫伝染性鼻気管炎といって、ウイルスと細菌の混合感染によって、鼻水、くしゃみ、目やに、流涙、結膜炎などの症状がみられることがあります。混合ワクチンを接種することで、ウイルスの感染を予防することができ、万一感染しても、症状の発現を軽減することができます。
子犬でも犬伝染性気管・気管支炎(ケンネルコフ)といって、ウイルス感染によって鼻水、乾咳、発熱などの症状がみられることがありますが、これも混合ワクチン接種によって予防することができます。
また、成犬・成猫になってからの鼻水の場合は、季節性はないか、なにかを吸入しなかったか、両側か片側か、慢性的か、血は混じっていないか、など鼻水の出方をよく観察しましょう。中・高年齢以上の場合は、まれに鼻腔内に腫瘍が認められることもあります。
また、猫は鼻がつまってにおいがかげなくなるだけで、食欲が落ちることがあります。
咳をする
犬・猫の咳は乾いた咳と湿った咳の2つに大きく分けられます。
「ケッケッ」「カハッ」「コホッ」といったような乾いた咳をする場合、気道(のどから胸の入口にかけての空気の通り道)が炎症などにより刺激になっていることが多く、のどや首を圧迫したり首輪がしまったりすると咳をしたり、咳のあとに吐き気のようなしぐさをすることがあります。代表的な原因としては、子犬のケンネルコフ(犬伝染性気管・気管支炎)、喉頭炎、気管支炎、気管虚脱などがあげられます。特に気管虚脱の場合、「ガーガー」といったあひるの鳴き声のような咳をするのが特徴です。
「ゼーゼー」といった湿った咳をする場合、肺水腫(心臓病などから)、肺炎、慢性気管支炎、気管支拡張症などが考えられます。
猫は、犬よりも咳をすることは少なく、気道内の異物、猫ぜんそく、猫フィラリア症、肺や心臓の腫瘍)により咳をすることがあります。
血を吐いた
「喀血(かっけつ)」と「吐血(とけつ)」の大きく2つに分けられます。
① 肺・気管支などの呼吸器系から出血し、咳とともに血を吐くことを「喀血」といいます。喀血の原因としては、心不全、フィラリア症、交通事故やケンカ、腫瘍などによる気管や肺の損傷、異物吸引、血液の病気などが考えられます。
② これに対し、口の中、食道、胃・十二指腸などの消化器系から出血して血を吐くことを「吐血」といいます。吐血の原因としては、口の中やのどからの出血、食道や胃の炎症・潰瘍(かいよう)・腫瘍、異物、血液の病気などが考えられます。
皮膚、粘膜が黄色い(黄疸(おうだん))
黄疸とは、皮膚や粘膜などが黄色くなることをいいます。基本的には溶血(血液中の赤血球が壊れること)や肝疾患によることが多いですが、そのもとになる疾患が隠れていることもあります。
飼い主さん自身が黄疸を確認できる部位は、まぶたをめくった白目・結膜、くちびるをめくった歯ぐきや粘膜、毛をかき分けた皮膚そのものの色、耳の内側などです。これらの部位が黄色みを帯びている場合、黄疸を起こしている可能性があります。
血液の病気、ウイルス性疾患、肝臓病、胆嚢(たんのう)の疾患などの可能性があります。
下痢をした
一般に下痢の原因として多いのは、消化管内寄生虫、ウイルス・細菌などの感染、フードの変更や食べ慣れていないおやつなどによる消化不良、アレルギー性腸炎、中毒などがあげられます。これらは糞便検査や飼い主様からの問診により、原因が特定できる場合もあります。
しかし、子犬や子猫で下痢のほかに嘔吐や食欲・元気の低下、発熱などを伴う場合、パルボウイルスというウイルスによる感染症を起こしている場合があり、集中的な治療をしないと非常に危険な場合もあるうえ、同居で飼っている犬や猫にもうつる可能性があります。
また、慢性的にずっと下痢が続いている中・高齢の犬・猫の場合、胃や腸などの消化管に腫瘍ができていたり、甲状腺機能亢進症(特に猫)を起こしている場合もあります。
便秘
ごはんを食べているのに便が出ない。それは便秘のサインです。通常、2~3日もすれば、食べたものは完全に排泄されますので、便が出ない日が数日続いている場合は早めの受診をおすすめします。
特に猫の便秘は巨大結腸症といって、糞便停滞と結腸運動の機能低下の悪循環により、おなかがパンパンになるほど便がたまってしまうことがよくみられます。特に食欲の低下や嘔吐が見られる場合は、一刻も早く受診しましょう。多くの場合は、麻酔をかけての浣腸処置が必要となります。
また、犬でも肛門嚢炎、直腸の腫瘍、異物の閉塞、椎間板ヘルニアなどの脊髄障害や、未去勢のオス犬では前立腺肥大、会陰ヘルニアなどにより便秘が生じることがありますので、特に中~高年齢の犬では注意が必要となります。
おしっこが出にくい、トイレに何度も行く
トイレに頻繁に通い、排尿姿勢を取るのに尿が出ていない、あるいはポタポタ程度しか出ていない場合、大きく2つの場合に分けられます。
1つは本当は尿はたまっていないのに膀胱炎などが原因で残尿感によって尿をしぼり出している場合です。
もう一つは尿石症や腫瘍などが原因で尿道閉塞を起こし、膀胱はパンパンなのに本当におしっこが出ない場合です。
このどちらなのかは動物病院を受診し、多くの場合、身体検査によりすぐに判断がつきます。一般に膀胱炎はメス、尿道閉塞はオスに多い傾向があります。
まる一日尿が出ていない場合は緊急事態ですので、一刻も早く動物病院を受診しましょう。嘔吐(吐き気)を伴う場合は、尿毒症を起こしている場合もあり、大変危険な状態です。
おしっこの色が赤い
尿が赤色になるのは、尿中に主に①赤血球、②ヘモグロビン、③ビリルビンなどの物質が混じっているためです。これらのうち、どの物質によるものなのかは、尿検査をすることで特定できます。
① 赤血球が混じっている状態は、いわゆる「血尿」で、泌尿器系(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかから出血している可能性があります。排尿時のどのタイミングで赤色が混じるかをよく観察してください。
排尿の最初の方に血が混じる場合は尿道や生殖器からの出血、排尿の最初から最後まで通して血尿が見られる場合は腎臓や血液凝固異常、排尿の最後に血が混じる場合は膀胱からの出血の可能性があります。
主に結石、感染、炎症、腫瘍や、交通事故・落下のような強い衝撃を受けた場合などが考えられます。
② ヘモグロビンが混じっている状態は「溶血尿」といい、全身を回っている血液中の赤血球が壊れて内部の赤い色素がしみ出た状態です。腎臓は血液をろ過する臓器ですので、体の中のどこかで赤血球が壊れてしみ出た赤い色素(ヘモグロビン)が血液をめぐり腎臓から排泄され、尿そのものに赤い色がついている状態です。
溶血尿を起こす主な原因としては、フィラリア症(犬糸状虫症)、タマネギ中毒、免疫介在性溶血性貧血、猫ヘモプラズマ感染症、腫瘍などが考えられます。
③ ビリルビンは肝臓でつくられ、その多くは胆汁中に排泄されます。しかし、肝臓の機能が低下したり、胆汁の通り道である胆道が圧迫を受けたりすると、血液中のビリルビンの量が多くなって腎臓から尿中に排出されるようになり、おしっこに色がつきます。ビリルビン尿の場合は、赤色というよりは、オレンジ色や濃い黄色のおしっこに見えます。
ビリルビン尿の主な原因としては、肝臓や胆嚢(たんのう)・胆道系の疾患、ウイルス感染症、胃・十二指腸・膵臓の炎症や腫瘍、中毒、フィラリア症などが考えられます。
けいれんを起こした
けいれんとは、手足がピクピクして全身の筋肉が収縮を繰り返すような状態のことで、ひどい場合は横になり、首や頭が反(そ)りかえったり、尿失禁、よびかけに反応しない、意識昏迷などの症状が見られます。
脳疾患、てんかん発作、中毒、代謝性疾患、低血糖、糖尿病、腫瘍、肝不全・腎不全など様々な原因が考えられます。
失神
心臓病により、脳や肺への血流が低下したり、不整脈を起こすことで、失神を起こすことがあります。また、健康な動物でも極度の緊張・恐怖・興奮などから失神を起こすこともあります。両者の鑑別は難しいケースもありますが、まずは動物病院を受診して、心臓の聴診をしてもらうことをおすすめします。
足をかばう、腰が立たない
足をかばったり引きずることを「跛行(はこう)」といいます。跛行(はこう)の原因は犬種、年齢によっても様々です。
足先に原因がある場合は、マダニがくいついていたり、指間皮膚炎、爪折れ、とげなどの異物刺さり、肉球のケガ、腫瘍ができていることもあります。
後ろ足では、ひざの関節内の異常から跛行(はこう)を起こすこともよくあり、膝蓋骨(しつがいこつ)(いわゆるひざのお皿)の内側や外側への脱臼、前十字靱帯(ぜんじゅうじじんたい)(ひざの関節内の靭帯)の損傷・断裂、半月板(はんげつばん)(ひざの関節内のクッション材)の損傷などが代表的な例です。
股関節(こかんせつ)に関しては、脱臼や関節炎のほか、小型犬では大腿骨骨頭壊死(だいたいこつこっとうえし)、大型犬では成長期に関連した骨疾患、股関節(こかんせつ)形成不全、高齢では骨腫瘍(骨のがん)などがあげられます。
下半身が麻痺したように腰が立たなくなってしまった場合は、椎間板ヘルニアが原因のことも多く、特にミニチュア・ダックスフンドでの発症がとても多いです。
猫では、外によく出入りしているオス猫は、猫同士のケンカが原因で皮膚の中で化膿していたり、交通事故などにより骨折していることもあります。心筋症に関連した血栓症からある日突然、腰がたたなくなってしまうこともあります。
体、口がくさい
体臭がする場合、体のどこか限られた部位からにおう場合は、外傷を起こした部位が感染していることがあります。体全体からにおう場合は、細菌や真菌などの感染による皮膚炎を起こしていることがあります。
口臭がする場合、口内炎がある場合とない場合の大きく2つに分けられます。口内炎がある場合は、歯石の付着、歯周炎、ウイルス性疾患、腫瘍、腎不全などが主に考えられます。口内炎がない場合は、肝不全や糖尿病性ケトアシドーシスなどが考えられます
目が赤い
眼球の白目の部分、およびまぶたの裏をめくった粘膜の部分をあわせて結膜といいます。一般に目が赤いというのは、この結膜が炎症を起こして充血している状態です。
片方の目が赤い場合はこすったりぶつけたりなどの物理的刺激、両方の目が赤い場合は細菌やウイルスによる感染症、アレルギーなどが代表的な要因としてあげられます。
結膜炎を起こしているときは、目ヤニ、流涙、しょぼつき、かゆみなどの症状が同時によくみられます。
目に異常を感じたら、様子を見ずに悪化する前に早めに動物病院を受診しましょう。
耳をかゆがる・振る、耳が赤い
耳は、鼓膜(こまく)より外側を外耳(がいじ)、鼓膜(こまく)より内側を中耳(ちゅうじ)・内耳(ないじ)といいます。
外耳炎は、犬でよくみられる耳のトラブルで、細菌、マラセチア(いわゆるカビの一種)、耳ダニのいずれかが感染していることがほとんどです。両方の耳に発症している場合はまれにアレルギー症状が根底に隠れている場合もあります。
猫の外耳炎は犬に比較すると少ないですが、上記の原因以外に、耳の周りの皮膚がガサガサして激しいかゆみを伴う場合は、疥癬(かいせん)という寄生虫が皮膚に感染していることがあります。
いずれも動物病院で検査することで容易に原因を調べることができます。
しこりができた
体の表面にしこりができた場合、つい「皮膚がん?」と思いがちですが、必ずしもそうとは限りません。傷から雑菌が混入・感染して膿がたまっていたり、イボなどの場合もあり、それらは触診・視診で判断がつく場合もあります。腫瘍が疑われるときは、細胞診といって、注射器でしこりを刺して中身を吸引し、それをスライドグラスにふきつけて染色したものを顕微鏡で観察する検査を行います。これにより、炎症なのか、腫瘍なのか、もし腫瘍であれば良性なのか悪性なのか、ものによっては細胞診だけで腫瘍の種類が特定できる場合もあります(例:脂肪腫、肥満細胞腫など)。
一般的に悪性のものほど、短期間で大きくなる傾向がありますので、「前からあったしこりが最近急に大きくなった」「1週間に1cmくらいずつ大きくなっている」などと感じる場合は、早めに受診しましょう。
ただし、目に近いところやしこりがあまりにも小さい場合(約5mm以下)などは、細胞診の検査が行えない場合もあります。
お乳が腫れている、お乳にしこりがある
乳腺が腫れる原因としては、生理的なものとしては妊娠(出産前)や発情後の偽妊娠、病的なものとしては乳腺炎などが考えられます。乳腺炎を起こしているときは、乳腺に熱感があったり痛みが生じる場合があります。
乳腺にしこりがある場合は、乳腺腫瘍、あるいは乳腺腫瘍以外の体表にできる腫瘍の可能性があります。乳腺のしこりのほとんどは乳腺腫瘍で、犬ではその50%が良性・50%が悪性、猫ではほとんどが悪性です。
乳腺腫瘍は犬も猫も1歳未満の若いうちに避妊手術をすることで発症リスクを下げることができます。
熱っぽい(発熱)
犬・猫の体温はだいたい38度台が平熱です。安静時でも40度前後の状態が続いている場合は、明らかな発熱といえます。そのくらいになると、抱っこしたり耳をさわったときにいつもよりあったかい・熱いと感じることもあります。ただし、犬では激しい運動をしたあと、一時的に40度前後になることもあります
発熱は様々な原因が考えられますが、代表的なものとしては、細菌やウイルスによる感染症、骨や関節の疾患、気管や肺の疾患、膿(のう)胸(きょう)、肝臓・膵臓・胃・腸・前立腺などの炎症や腫瘍、自己免疫疾患、けいれんのあと、熱中症、白血病などが考えられます。
脱水を起こしている
動物の脱水状態を簡単に調べる方法は、背中などの皮膚をつまむことと、歯ぐきを触ることの2つあります。
皮膚を親指と人差し指でつまんでから離し、そのつまんだあとがすぐにもとに戻らなかったり、くちびるをめくって歯ぐきなどの粘膜を触ってみて乾燥している場合は、脱水状態を起こしている可能性があります。
脱水は様々な原因で起こりますが、食欲低下などにより必要な水分量を摂取できなかったり、下痢・嘔吐・熱射病・腎不全・出血、糖尿病など様々な疾患により体内の水分が失われていることも考えられます。