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犬アトピー性皮膚炎の治療薬「サイトポイント」詳細

2020年04月|

「サイトポイント」詳細

 

 

 

 

 

 

 

①有効成分;ロキベトマブ

②特徴

1回の注射で約1カ月間、犬アトピー性皮膚炎による症状(主に痒み)を緩和する長期持続型のお薬

③作用機序

痒みを誘発する主なサイトカイン(体内生理活性物質)であるインターロイキン31という物質を特異的に中和し、痒みのサイクルを断ち切ります。

④注射プログラム

初めの4カ月間は、1カ月に1回の注射。

それ以降は、約1カ月ごと、あるいは痒みがぶり返して来たら速やかに適宜追加注射を行う。

個体差によって、2~3週間で痒みが再発する子もいれば、反対に1カ月以上もつ子もいます。2カ月あくと痒みがぶり返す可能性があります。

ただ、アトピー性皮膚炎には痒みの増減に季節性があることが多いので、環境アレルゲンの比較的少ない冬季は、注射の間隔を少し延ばせるかもしれません。

 


有効性

犬アトピー性皮膚炎において、痒みを引き起こすインターロイキン31という物質が関与している症例は6~7割程度だそうです。

つまり、インターロイキン31のみを特異的に中和する薬であるサイトポイントが有効な症例は実際には6~7割ということです

サイトポイントが有効な場合、痒みを抑える効果の発現は、早い子で注射後3~4時間、遅い子で3~5日前後、長くみても1週間以内には効果が出るそうです。このように効き始めには多少ばらつきがあるようです。

1週間経っても効果がない場合は、このサイトポイントが効かない子かもしれません。

しかし残念ながら、事前にサイトポイントが有効なのか有効ではないのかを調べる検査は今のところありません。

確認のためには実際に打ってみるしかありません。

また、サイトポイントが有効な子の場合、その効果は毎月注射するごとに徐々に高まっていき、約4カ月目頃に最大効果に達するようになり、それ以降も定期的な注射を続けていくことで安定した効果が認められます。

途中で完全にやめてしまうと、お薬の効果は最終的には完全に切れてしまいます。

サイトポイントを実際に使用している先生方の報告だと、柴犬の犬アトピー性皮膚炎にはサイトポイントが有効な子が比較的多いそうです。


 

副作用や注意点

まず、サイトポイントによる副作用は限りなく少ない(ほとんどない)そうです。国内で使用可能になった現時点までに、海外のデータを含めると約100万回投与されているとのことですが、高い安全性の成績が得られているそうです。短期・長期的な有害作用の報告もなく、臓器毒性の報告もありません。

注射時の痛みもほぼありません。

非常に若い犬(6カ月齢以上)にも使用可能で、併用薬にも制限はありません。

ただし、3kg未満の犬では打つことができません。(臨床試験による安全性が確認できていないため)

サイトポイントは抗体製剤ということで蛋白質の入ったお薬ですので、理論上、注射後にアレルギー反応が生じる可能性がありますが、臨床試験の結果では注射後にアレルギー反応が起こる可能性は限りなく少ない(ほぼない)そうです。

まれにサイトポイント中の抗体に対する抗体がつくられてしまうと効果が減弱する可能性がありますが、開発中に行われた試験では、521頭の犬のうち抗体を獲得した犬はわずか7頭(1.3%)だったそうです。

混合ワクチンとの同時注射はできません。(1週間程度ずらした方がいいそうです。)

サイトポイントが有効な子では、現在飲んでいるお薬を徐々に減量、最終的には休薬を目指し、定期的なサイトポイントの注射のみで痒みをコントロールしていけるかを判断していきます。うまくいけば飲み薬を一切やめて、定期的な(約1カ月に1回の)サイトポイントの注射のみで痒みを抑えていくことができるかもしれません。

しかし、現在飲んでいる飲み薬をサイトポイントの注射を併用することで減量できたとしても、完全にやめることはできない可能性もあります。

サイトポイントはあくまで「アトピー性皮膚炎」に対して有効な薬であり、食物アレルギーには無効です。(花粉・ハウスダストなどの環境アレルゲンによるものがアトピー性皮膚炎、摂取した食物アレルゲンによるものが食物アレルギーです)

そのため、理想的にはサイトポイントによる治療を始める前に、アレルギー検査を行い、アトピー性皮膚炎かどうかを調べてからサイトポイントによる治療を開始することが好ましいのですが、このアレルギー検査がとにかく高い!(4万円ほどします…。)

サイトポイントは副作用がほぼないお薬であること、それから仮にアトピー性皮膚炎であっても有効な症例は6~7割で、最終的には打ってみないと効果がわからないという特徴をもっていることから、場合によってはアトピー性皮膚炎が疑わしいワンちゃんは、アレルギー検査を省略してサイトポイントを実際打って判断していく、ということも少なくないそうです。

また、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの両方をもっているワンちゃんでは、サイトポイントの注射+食事療法を行う必要があります。

 


治療費

サイトポイントは犬の体格にあわせて、10mg、20mg、30mg、40mgと4種類あり、下記のように、体重ごとにそれぞれのサイズのサイトポイントを1瓶ずつ注射することになっています。

当院でのサイトポイント 1回の注射代(税抜)料金は、

3.0 kg ~ 10.0kg →¥9,300 (10mg製剤1本を注射)

10.1kg ~ 20.0kg →\12,700 (20mg製剤1本を注射) 

20.1kg ~ 30.0kg →\18,100 (30mg製剤1本を注射)

30.1kg ~ 40.0kg →\20,500 (40mg製剤1本を注射)

となります。

 


まとめ

サイトポイントは毎日飲み薬を飲ませている飼い主様の負担、また実際にお薬を飲んでいるワンちゃんの負担を軽減させてくれるかもしれません。特に、ワンちゃんが薬を飲むのを嫌がって、毎日投薬するのがちょっと大変…という飼い主様には朗報かもしれません。

しかし、実際に有効な症例はアトピー性皮膚炎をもっているワンちゃんのうち6~7割と、すべての子に有効でないところがちょっと残念なところです。

でも6~7割というと、ほとんどの子に有効、ともいえます。

有効かどうかは実際にサイトポイントの注射を打ってみないとわかりません。

この記事を読んで、サイトポイント注射によるメリットを感じた飼い主様は、一度ためしてみてもいいかもしれません。

ただ、コスパ的にいうと少し高いかもしれません。特に、プレドニゾロン(ステロイド)のみでの治療と比較するとだいぶ高くなってしまうかもしれませんが、ステロイド長期投与による副作用の可能性を考えると、その点、副作用のほぼないサイトポイントは体への負担は少ないかもしれません。

プレドニゾロンよりもやや価格の高いアポキル錠を毎日投薬しているワンちゃんの場合は、毎日の投薬の手間も考えると、サイトポイント注射も検討されてもいいかもしれません。

報告によると、アポキル錠のみを1日1回で投薬し良好にコントロールできているワンちゃんに対し、サイトポイントに切り替えた際、そのまま痒みを良好にコントロールできた症例は92.5%だそうです。

サイトポイントは、いわば「痒み止め」のお薬です。赤みを伴う炎症を起こしている皮膚には、消炎効果は基本的にありません。

副作用がほとんどないことと、毎日の投薬をしなくていいところがサイトポイントの良いところですが、皮膚炎を起こしてしまっている場合は、やはりステロイドやアポキル錠などの飲み薬、あるいは塗り薬を必要に応じて併用し、アトピーによる症状を複合的に抑えていく必要があります。

アトピーという体質そのものを治すお薬は残念ながら今のところありませんが、生涯つきあっていかなければいけないこの疾患に対し、心強い治療薬が一つ増えたことには違いありません。

ご興味のある方は、ぜひご相談ください。

※現在、流通の関係で入手困難な状況にあります。入荷しましたらまたご連絡致します。

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