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アレルギー性皮膚炎 ~入門編~

2019年10月|

まずはアレルギーを語るには欠かせない IgEについて知ろう


IgEとは、血液中に存在する免疫グロブリンといわれる免疫に関わるタンパク質の一種で、からだの中にアレルギーの原因物質(アレルゲン)が侵入してきたときにからだを守る働きをもつ抗体です。

 

 

犬アトピー性皮膚炎とは


ひとことでいうと、環境アレルゲンに対するアレルギーのことです。

例えば、花粉、、ダニ、カビなどで、食物アレルゲンによるアレルギー反応はアトピー性皮膚炎に含まれません。

犬アトピー性皮膚炎に特徴的な、腋窩(わきの下)、大腿部内側(内また周囲)、四肢の屈曲部における痒みを伴う慢性の皮膚炎が存在し、検査の結果、環境アレルゲンに対するIgEが検出された場合、アトピー性皮膚炎と診断されます。

環境アレルゲンが悪さをするピークは、それぞれ季節によって異なり、症状の程度に季節性がある場合は、アトピー性皮膚炎の可能性がより高いといえます。

 

 

食物アレルギーとは


環境アレルゲンが原因の犬アトピー性皮膚炎とは違い、食物アレルゲンが原因のアレルギーとなります。

症状の出方には大きく2つのパターンがあります。

 

1.目や口の周り、背中などに皮膚炎が出る典型的なパターン

→かなりの確率で食物アレルギーを疑うことができる。

 

2.犬アトピー性皮膚炎による皮膚症状と似ているパターン

→見た目だけでは、食物アレルギーなのか、アトピー性皮膚炎なのか区別することはできない。

 

また、食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎と違って、

IgEの反応によるもの と リンパ球の反応によるもの 

の2つのメカニズムがあります。

したがって、食物アレルギーの可能性も疑われる場合、IgEとリンパ球の両方の検査を行わなければ見逃しを生じてしまう危険性があります。

 

 

アトピー性皮膚炎か食物アレルギーかを見分けるポイント


食物アレルギーに特徴的なサインとして、

①1歳未満から痒みがある

②季節を問わず、一年中痒い

③1日3回以上の排便

④目・口の周囲、背中に痒みがある 

があげられ、1つでも該当する場合、食物アレルギーの疑いをもつ必要があります。

反対に、1つもあてはまらず、でもやはり経過的にアレルギーが疑われる場合、犬アトピー性皮膚炎を疑う必要があります。

 

 

実際には、アレルギー性皮膚炎は3パターンに分かれる


①犬アトピー性皮膚炎

②食物アレルギー

③アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの混合型

 

 

痒みがない場合はアレルギーではない!?


 

アレルギーの場合は、ほぼ必ず痒みを伴います。

痒くないアレルギーはありません。

しかし、痒みの原因はアレルギーだけではなく、ノミやダニなどの寄生虫、微生物(細菌や真菌)なども痒みの原因となります。

アレルギー性皮膚炎の場合、皮膚のコンディションの悪化により、これらの病原体が増えやすい状態になっていますので、まずは基本的な検査により、これら(寄生虫や微生物)の有無を確認し、もしいた場合はそれらを治療したうえで、それでも痒みが続く場合は、いよいよアレルギーの可能性を疑っていきます。

 

 

アレルギーの痒みの特徴


アレルギーによる痒みが生じる部位はある程度決まっています。

腋窩(わきの下)、肘の内側、内また、四肢端(手や足の先)、肛門周囲、耳、目や口の周囲、背中です。

これらの部位に痒みを伴う場合、アレルギーの可能性が高くなります。

この中で、特に目・口の周囲と背中に関しては、犬アトピー性皮膚炎で起こることはまれで、多くが食物アレルギーによって起こります。

 

 

アレルギーを疑った際にすべきこと


痒みを伴う皮膚炎に対し、寄生虫や微生物などの病原体の有無を確認し、それらが除外されたうえでも痒みが残る場合、アレルギー性皮膚炎が疑われますが、その次は実際にはどのような検査をしたら、犬アトピー性皮膚炎なのか、食物アレルギーなのかを正確に分けられるのでしょうか。

 

①アレルギー検査

検査費用が高い(すべての項目を行うと4万円…ほどかかる 😯 )のがネックになりますが、保険に入っている方は保険対象になることもありますし、この検査をしなければ、結局何に対して反応しているのかがわからないので、憶測の範囲でアレルギーの治療をしていかなければいけません。

しかし、やはり費用的な問題でアレルギー検査が難しい場合は、②の除去食試験から実施してみるのもいいでしょう。

その後、やはり必要であれば、再度アレルギー検査の実施について検討してみてもいいと思います。

検査は、採血を行い、血液を検査センターに送るだけです。

当院が委託している動物アレルギー検査会社では、以下の項目について調べることができます。

特徴的な症状があって、IgE検査で環境アレルゲンに対するIgE値が上昇している症例は、犬アトピー性皮膚炎との診断となります。

IgE検査でどのアレルゲンにもIgE値の上昇がみられなかった場合は、犬アトピー性皮膚炎の可能性は低くなります。

(※上記の代表項目以外にも、環境アレルゲンは無数にありますので、完全には否定できません。ただし、上記以外の環境アレルゲンがアトピー性皮膚炎の原因となることは比較的まれであると考えられます。)

 

IgE検査とリンパ球反応検査で食物アレルゲンに対して、陽性域あるいは要注意域の値を検出したら、かなり高い確率で食物アレルギーと考えられます。

 

②除去食試験

検査結果からアレルゲンとして反応している食物が入っていない食事を与える食事療法のことを「除去食療法」といい、この食事療法により実際にアレルギーの症状が軽減あるいは消失するかを確認することを「除去食試験」といいます。

検査結果から正しく選んだ除去食のみを、他の食べ物を食べさせないようにしてきちんと与えていると、食物アレルギーだけが痒みの原因であった場合は早くて3週間目くらいから症状が改善してきます。

ただし、万が一、除去食と異なるものをちょっとでも食べてしまった場合には、目的の治療が行われていないことになり、治療効果の判定が難しくなってしまいます。

症状が改善した場合は問題ありませんが、期待したような改善がみられなかった場合、除去食試験がうまくいっていないのか、治療方針が間違っていたのか、判断することができなくなってしまいます。

 

 

犬アトピー性皮膚炎と食物アレルギーが混在していたら…


検査の結果、両者が混在しているタイプの場合、まずは除去食療法を行い、3週間ほどして除去食の効果が出てきて食物アレルギーが治まってきたら、痒みは少し治まってくるはずですが、ここで残った痒みが犬アトピー性皮膚炎による痒みと考えられます。

つまり、食物アレルギーに対しての食事療法と、犬アトピー性皮膚炎に対しての内科治療の両方を平行して行う必要があります。

 

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